40代の男性が、中折れや朝立ちがないなどのED(勃起不全)になってしまった場合、「テストステロン」という男性ホルモンが低下していることが考えられます。
なぜ、テストステロンが低下すると勃起力が低下するのでしょうか? それにはNO(一酸化窒素)という物質が関係しています。今回は、テストステロンと勃起とNOの関係について、わかりやすくご紹介します。
テストステロンとは?
まず、簡単に「テストステロンとは何か?」についてご説明します。
生まれたばかりの男の子の赤ちゃんは、成長していくにつれて男らしい肉体や思考を持つようになります。この変化を起こしている源になっているのが、男性ホルモンです。
男性ホルモン=アンドロゲン | |
テストステロン | ジヒロドテストステロン(DHT) |
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA) | アンドロステロン |
アンドロステンジオン | エピアンドロステロン |
男性ホルモンにはいくつか種類があるのですが、メインとなるのはテストステロンです。ですので、ここでは「テストステロン=男性ホルモン」と考えていただければ大丈夫です。
男の子は成長してテストステロンが増えるにつれて、精巣(睾丸)が大きくなっていきます。テストステロンの95%は精巣で作られています。男子にとって、金玉は本当に大事な場所なのです。
(引用:日本泌尿器科学会雑誌Vol. 95 (2004) No. 6 P 751-760より)
このテストステロンは、残念なことに加齢とともに減少することが明らかになっています。40代の男性が元気がなくなったり、EDになったり、肥満体型になったりするのは、テストステロンの減少が大きな因子であると考えられています。
では、なぜテストステロンが下がるとEDになるのでしょうか? このことを知るために、勃起のメカニズムを見てみましょう。
勃起のメカニズム
勃起のメカニズムを簡単にご紹介します。
勃起は、目や耳から入ってきた性的な刺激をきっかけとして、脳にある視床下部から副交感神経(リラックスの神経)を介して、陰茎の末梢神経に信号が伝わります。
その段階でNO(一酸化窒素)という物質が陰茎の中で放出されます。するとcGMP(サイクリックGMP)という物質が陰茎の中に増えてきます。すると、陰茎の筋肉が緩み陰茎海綿体(スポンジ状の勃起性組織)に血液が流入しペニスが硬く大きくなります。
ちょっと難しい話になりましたが、もう一度まとめますと
- 「脳」……エッチな刺激を視床下部(食欲や性欲など本能を司る脳の一部)が受け取る
- 「神経」……副交感神経(リラックスの神経)が興奮し、情報が脊髄を通って陰茎海綿体に送られる
- 「血流」……NOが産生されcGMP(筋肉を緩める物質)が増えて陰茎の筋肉が緩み、そこに血液が流れ込む
この順番で勃起が起こります。ここで重要なのがNO(一酸化窒素)です。
NO(一酸化窒素)とは
一酸化窒素(Nitric Oxide)の頭文字を取ってNO(エヌオー)と呼ばれています。NOは、ノーベル医学・生理学賞受賞のルイス・J・イグナロ教授が発見した、人体の中にある血管を弛緩させ拡張する物質です。
NOの役割は、ペニスの海綿体を緩めることです。そのことで血管が拡張して血液がペニスに流入します。さらに、血管を裏打ちする内皮細胞からもNOが大量に出て、勃起が完成します。
このように、NOが大量に出ることでペニスは勃起することができ、性行為中も勃起を維持することができるのです。
テストステロンとNOとEDの関係
このように、勃起が起こるには
- ペニスの海綿体に血液が流入する必要がある
- そのためにはペニスの血管を拡張させる必要がある
- 血管を拡張させるには、NOが産生される必要がある
という手順になっています。
そして、このNOの放出を担当しているのがテストステロンなのです。
ここまで見てきたように、テストステロンはオスを作り出す源です。オスの生物学的な目的は、子孫を残すことです。そのために睾丸が大きくなり、勃起する機能が備わっているのです。
しかし、テストステロンが減少すると、オスとしての存在が弱まります。すると、勃起する必要がなくなるので、NOが産生されなくなるのです。なんとも合理的というか、僕たちにとっては非情なメカニズムです……。
したがって、40代男性のEDの治療の要はテストステロンを増やすことと、NO(一酸化窒素)を増やすことになります。そのために有効な方法が生活習慣を改善することと、精力剤サプリメントを利用することです。
EDの回復とは、テストステロンとNOを取り戻すこと
テストステロンを増やすには色々な方法がありますが、1番は筋トレをすることです。筋肉量とテストステロン量は相関関係にあるので、筋肉を増やせばテストステロンが増えます。
また、食事=栄養素も大切です。テストステロンを増やす栄養素は亜鉛ですが、40代になると亜鉛を吸収する器官である十二指腸が老化して吸収率が下がります。亜鉛不足のため、40代男性は疲れやすくなるのです。
亜鉛の必要量は1日10mgですが、食事だけで賄うことが難しい場合は、1日で12mgを摂取できる精力剤サプリメントを利用するのもコスパが良いので有効な手段です。
また、NOを増やすには、1日30分の運動が有効です。また、NOの材料となっている栄養素であるアルギニン・シトルリンをしっかり摂ることが必要です。
アルギニンは体内でNOに転換される非必須アミノ酸です。アルギニンは食事だけで十分な量を摂取することは難しいため、サプリメントで補給することを前述のイグナロ博士は推奨されています。
まとめ
このように、テストステロンが下がるとNOの産生量が減って勃起力が低下します。そのために筋トレや運動によってテストステロンを高めてNOをしっかり生み出す身体を作ることがEDの回復には必要です。
また、テストステロンを増やす栄養素である亜鉛や、体内でNOを生み出す材料となるアルギニンは40代になると不足するため、食事を改善するとともに不足分は精力剤サプリメントで補うように工夫していきましょう!