病院で糖尿病と診断されて、インスリン注射をして飲み薬で治療をする。そのような生活をしていると、まず間違いなく問題になるのがED(勃起不全)です。糖尿病とEDの関連性は高く、糖尿病者の80%がEDであるとも言われています。
糖尿病が発病した場合、血糖値のコントロールをきちんとしていけば、また勃起するようになるのでしょうか? それとも、いったん糖尿病になったら自力でペニスを勃たせるのは無理なのでしょうか?
そんなことはありません。生活習慣の見直しでEDを改善した実例があります。希望を持ってやっていきましょう!
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糖尿病の症状とは?
糖尿病とは、インスリン(血液中のブドウ糖を筋肉や肝臓などへの取り込み、血糖を下げる働きを持つホルモン)の作用が十分でないため、ブドウ糖(人間が活動するためのエネルギーとなる物質の一つ)が有効に使われずに、血糖値が高くなっている状態のことです。
ちなみに、僕は糖尿病ではないのですが、父が糖尿病です。「遺伝する可能性もある」と聞いているので、気を付けています。
糖尿病とEDは合併症?
糖尿病は、EDと関係性が深い病気です。日本では糖尿病患者のED疾患率は42%から90%とされ、糖尿病でのED疾患率は非糖尿病と比べると2倍から4倍高いと言われます。糖尿病による血管内皮細胞の障害は、EDの大きな要因であるとされます。
42%から90%というのは、ちょっと幅が広い気もしますけど、糖尿病とEDが深く関係していることは歴然と数字が示していますね……。
なぜ糖尿病になるとEDになりやすいのか? その3つの理由
糖尿病は血糖値が上がる病気です。では高血糖になると、どうしてEDになりやすいのでしょうか? その理由は3つあります。それが「神経の障害」と「海綿体の機能低下」と「動脈硬化」です。
1.神経の障害(糖尿病性神経障害)
勃起が起こるには、性的な刺激がペニスまで伝達され、そこに血液が流れ込むことで起こります。この、性的な刺激とペニスをつなぐ役割を担っているのが神経です。
高血糖になると、神経に異常が生じて体の不調が起こります。これを「糖尿病性神経障害」といいます。糖尿病性神経障害の主な症状は以下になります。
糖尿病性神経障害の主な症状
- 手足や足先が痺れたり、足の感覚が鈍ったりする
- 下痢や便秘
- 不整脈(脈の打ち方が異常に速い・遅い・不規則になるなどの症状)
- 異様に汗をかく
- ED(勃起不全)
- 物が二重に見える
2.海綿体の機能低下
勃起はペニスの海綿体(スポンジ状の勃起性組織)に血液が流れ込むことで起こります。海綿体には普段、血液が流れ込まないようになっています。例えるなら、皮の袋の口が縛られているような状態です。
性的な刺激が脳に入ると、血管内皮から筋肉を弛緩させる物質であるNO(一酸化窒素)を出すよう指令が出ます。例えるなら、その袋の口が緩まり血液がギュンギュンと流入するのです。それによってビンビンな勃起が実現するのです。
しかし、高血糖になるとNO(一酸化窒素)の産生が低下するので、海綿体が緩みにくくなります。そのため、ペニスへの血流が悪くなりEDが引き起こります。
3.動脈硬化
(参照:『男性ホルモンの力を引き出す秘訣』秋下 雅弘)
動脈硬化とは、 老化や余分なコレステロールによって動脈が硬くなったり狭くなったりして、血流が悪くなることです。
上図のように、体の中で一番細いのは性器の動脈です。この細い血管に流れる血流が減少すれば、当然のごとくペニスはフニャフニャになってしまいます。
このように、動脈硬化で最初に影響が現れるのがペニスです。そのため「EDは心筋梗塞の前触れ」とも言われています。
糖尿病にバイアグラなどのED治療薬は効果がない?
もちろん個人差はあると思いますが、バイアグラ・レビトラ・シアリスといったED治療薬は、残念ながら「糖尿病患者に、あまり効かない」という話があります。
僕の友人が糖尿病ですが「薬はあまり効かない。放っておいて治療まで時間があったからもしれない」とのことで、バイアグラも効かないそうでした。
糖尿病になったら、もう諦めるしかないんですか……?
大丈夫だ。安心してくれ。EDが改善された実例がある。
糖尿病患者が体重20kg減らしてEDを改善したこととは?
ある患者が内蔵型肥満・高血糖・高血圧で泌尿器科に来院された話があります。その患者は血圧や中性脂肪値、血糖値が基準値を上回っており、飲酒は週に3回程度で、喫煙の習慣がありました。体型は学生時代はラグビーをして筋肉質だったけれど、社会人になって運動らしい運動はしておらず慎重180cmで体重が90kgです。
そのままでは心筋梗塞など命にかかわる危険がある状態でした。そこで行ったのが「運動」「禁煙」「飲酒を控える」「食生活の見直し」といった生活週間の見直しでした。
すると、3ヶ月後に顔色のつやがよくなり、身体が引き締まっていきました。そして、その3ヶ月後にEDの症状が解消したそうです。健康診断で体重が20kg減って、血圧・中性脂肪値、血糖値がすべて基準の範囲内に収まっていたとのことです。
ですから、糖尿病だからといってあきらめる必要はありません。見事EDを治した、それぞれの改善策を見ていきましょう!
運動(ランニングなど)をする!
運動療法は、食事療法と並んで糖尿病治療の基本です。運動を毎日続けていると、筋肉の活動量が上がることでインスリンの働きが改善します。さらに、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促されて血糖値が下がるという効果もあります。
また、ランニングを行うことで全身に毛細血管が張り巡らされます。運動はED改善に良いことだらけです。
▶さらに詳しく:ランニングがED対策になる理由を徹底的に解説!毛細血管が改善の鍵
禁煙する!
タバコに含まれるニコチンが血管の収縮と血圧の上昇をもたらすことで、男性器に流入する血液が少なくなります。また、勃起に必要なNO(一酸化窒素)が減少します。僕は20年以上の喫煙歴があったのですが、このことを知って、意を決して禁煙しました。
▶さらに詳しく:喫煙するとEDになる?メンソールのタバコは特に危険?
飲酒を減らす!
アルコールはアルコールそのもの作用やアルコールの代謝に伴って血糖値に影響を与えます。少量のアルコールであれば緊張を解いてリラックスできますし、糖尿病の発病に抑制的に働く可能性が推定されています。
しかし多量飲酒は肝障害や膵障害を起こして糖尿病になるため、多量飲酒は避けるべきです。(参照:厚生労働省eヘルスネット「アルコールと糖尿病」)。
▶さらに詳しく:EDの原因はお酒?アルコールの飲みすぎで立たなくなる理由は?
食生活を見直す!
現代の食事は欧米型にシフトしていて、高脂質の食事になっています。しかも添加物が満載なので、血液がドロドロに汚れてしまいがちです。
勃起するには海綿体に血液がギュンギュン流れる必要がありますが、血液がタールのようにドロッとしていてはビンビンにはなりません。外食やコンビニはほどほどにして、質の良い食事を心がける必要があります。
特に、筋肉を作り出すタンパク質を筆頭に、亜鉛やシトルリン、アルギニンなどのミネラル・栄養素の摂取を心がけていきましょう。
▶さらに詳しく:EDを食事で改善!効果のある食べ物で中折れを予防!
まとめ
糖尿病とEDの関連性は高く、糖尿病者の80%がEDであるとも言われています。その理由は「神経の障害」と「海綿体の機能低下」と「動脈硬化」です。
糖尿病患者にはED治療薬があまり効かないという話があります。したがって、糖尿病とEDの合併症に対する有効な対策は、ED治療薬のような対症療法ではなく、自然勃起力を回復する原因療法となります。
そのために「運動」「禁煙」「飲酒を控える」「食生活の見直し」といった、生活週間の見直しを行いましょう。
といっても、一度にすべてを行うのは大変です。最初から完璧を求めるのではなく、まずはできる範囲のことからやっていきましょう。ちゃんとEDが改善した実例がありますので、コツコツとそれらを継続していくことでビンビンな下半身を回復させていきましょう!